デザイナーベビー

中国がリードするデザイナーベビーとは。問題点、日本での実例、法律についてなど。

中国で誕生した人類史上初のデザイナーベイビー

デザイナーベイビーは以前から概念としては知られていました。遺伝子情報を編集された赤ちゃん、それがデザイナーベイビーです。ただし、それを実際に行った人は公式にはまだいませんでした。ということになっています。もしかして密かにやっている人はいたかもしれません。でも発表などはしていなかったのです。しかし、その歴史が変わったのです。

中国の生物学者賀建奎(フー・ジェンクイ)氏がデザイナーベイビー誕生を発表

世界で、人類史上初めてデザイナーベイビーの誕生を発表したのは中国の生物物理学者で南方科技大学准教授の賀建奎(フー・ジェンクイ)氏。同氏は香港で開かれたヒトゲノム編集分野の国際会議の2日目にデザイナーベイビー誕生を発表しました。

発表に先立って英国のフランシス・クリック研究所の生物学者ロビン・ロヴェル=バッジが会議を主催する米国科学アカデミー(NAS)は、賀氏の研究プロジェクトについては何も知らなかったと強調したとのことですから、このデザイナーベイビー誕生という事件についての扱われ方が伺われます。誰もが注目しつつも誰もが手をつけられなかった分野だったのでしょう。そして賀氏は事前に提出した資料とは異なる資料の説明を始めたのだそうです。ここも何か謎めいたものを感じますね。恐らく事前にデザイナーベイビーに関する資料を提出してしまうと、説明ができなくなる、変に話題が広まってしまうといったことを心配したのかもしれません。

「CRISPR-Cas9」と呼ばれる遺伝子編集技術。これが今回賀氏が遺伝子情報操作に使った技術です。そしてデザイナーベイビー誕生以外にも、着床させた受精卵はまだある、ということが賀氏から明かされました。つまり、やろうと思えば追加でデザイナーベイビーを誕生させることができるということなのです。

賀氏はなんとこの発表資料を公開しています。

デザイナーベイビー誕生の目的

賀氏はどのような目的でデザイナーベイビーを誕生させたのでしょうか。これにはHIVに苦しむ人達を救いたい、という大義名分があったようです。賀氏によると中国で同氏が訪れた村ではHIV感染率が30%にも登ったのだとか。それを見て賀氏はHIV耐性を持つ子を誕生させたいと思ったとのことです。

中国政府の方針

中国で誕生したデザイナーベイビー。ひょっとすると国家プロジェクト?という見方もあるかもしれませんが、どうやら中国政府は関与していないようです。というのも、この発表の後、中国政府は研究の中止を命令しているからです。

賀氏がデザイナーベイビーの誕生を発表した後、様々な人、組織から声明が発表されましたが、どれもかなり否定的なものばかりであり、今回のデザイナーベイビー誕生の衝撃の大きさを物語っているようです。業界としてはまだまだいろいろなことを議論している途中であり、まさかこの段階で誰かがデザイナーベイビーを誕生させるとは思っていなかったのかもしれません。

パンドラの箱は開けられた?

しかし、一度行われたものを元に戻すことは難しいかもしれません。このニュースを知った人は自分もデザイナーベイビーが欲しいと思うかもしれません。SFの世界で語られていた段階と、実際に可能だとわかった段階では意味が大きく異なります。今後世界のどこかでデザイナーベイビーが誕生していくかもしれません。